あなたの病気は一生治りません
2023年06月19日

先日、10数年ぶりに出会えた。かつて5年程継続して、彼女の生きづらさを聴き、寄り添っていた。交通機関を利用できない彼女は遠方より4時間の道のりを自分で運転して通ってくれた。それも、病気がつらくなり、運転も外出もできなくなり、年に数回、やっとハガキで近況を知らせてくれる10年あまりだった。それが、先日、神戸に夫が連れて行ってくれるというので、2泊3日で来神した。
「やっと会えた!」
あれこれと飼っている猫の話しなどをしたあとで、彼女は私の目を見ていった。「今の主治医の前の主治医に
『あなたの病気は一生治りません。』と言われた。あのときはすっごくショックだった」と。
そのようにハガキにも書いてあったね。短い文章で。1枚のハガキの中から血が溢れるような悲痛を感じたのを覚えている。
そして彼女は、「治らないならしょうがないや、と思った。朝、起きれないときもあるし。すごくしんどいときもあるし、それでもしょうがないやと思えたんよ。」「だったら一生つきあってやると決めた」と朗らかに笑った。
かつて、彼女も私も「治る」ことを目指していたような気がする。完治でなくても、良くなる、楽になる、気にならなくなる、そしてできれば普通に生きたいということを一緒にがんばってきたような気がする。そのときの私は今思えば、未熟なカウンセラーだった。
「治らないならつきあってやる」という言葉の重みを胸で受けとめて、私は泣きそうになった。
そして、あなたは、ほんとに一生懸命生きていると思った。
(高橋)