オッサンの壁

2024年07月16日

読書日記「オッサンの壁」佐藤千矢子著

【抜粋】

私が思うに「オッサン」とは、男性優位に設計された社会で、その居心地の良さに安住し、その陰で、生きづらさや不自由や矛盾や悔しさを感じている少数派の人たちの気持ちや環境に思いが至らない人たちのことだ。いや、わかっていて、あえて気づかないふり、見て見ぬふりをしているのかもしれない。男性が下駄をはかせてもらえる今の社会を変えたくない、既得権を手放したくないからではないだろうか。

だから当然、男性でもオッサンでない人たちは大勢いるし、女性の中にもオッサンになっている人たちはいる。

佐藤千矢子さんが、毎日新聞社で政治記者として働いてきたなかで、体験したこと、感じたこと、考えたことが書かれている。そうやなあ、そうそう、新聞社であってもなくても、政治の場でなくても自分の職場でもこういうことはある。オッサンはそこらにいる、と私は思った。だからこれを読むとやっぱり壁やなあとひしひしと感じた。以前一緒に仕事をしていた友人が(彼女とは男女共同参画の意識調査をしたり女性のエンパワーメントにつながる【言葉】を調べたりした)、「家の中で夫に足を踏みつけられて、踏んでる方は痛くもないし踏んでるとも思っていない。」と言ってた。「家の中が男女平等でないのに世の中がなるはずがない。」彼女も「オッサン」という言葉を使っていた。

最後に佐藤千矢子さんは書いている「オッサンの壁は越えるものではない。壊すものだ」。私も、強くそう思う。