オトモダチ
2019年06月30日

小さい頃から 『オトモダチ』 という言葉に、 なかば、慣らされ、 騙されてきた。 親しくても親しくなりたくなくても同じクラスの『オトモダチ』、 いっしょに登下校する近所の 『オトモダチ』。 ほんとうは、 友達なんかじゃなかった。
小学校2年生の時、 わたしの消しゴムを盗った隣の席のK君も、 登下校の際にワンマンだったS君も、意地悪なNさんもHちゃんも友達ではなかった。けれども、センセイの『みんな仲良く』とか、『オトモダチだから』という言葉の威圧に負けて、わたしは、その人たちを好きになろうと努力もしてみた。『みんな仲良く』『みんなに親切に』『争いはよくないこと』『嫌いになってはいけない』という言葉が自分の中に大きく巣食っていた。
けれども、時を経るにつれ、「できそうもない」ことだと、わかり始めた。各々がありのままに生きたら、受け入れがたい相手も出てくるし、誰と『友達』になれるのか、なれないのか、自己決定をしていかないといけない。
友達って、「イヤ」は「イヤ」と言えて、気持ちの共有ができて、お互いの立場を尊重できて、しかも相手のために過度な自己犠牲をしなくても付き合っていける間柄で・・・。
友達のランクもいろいろあって、 そのランクにあわせて付き合っていけるというのが 「オトモダチ」 ではないかな。
武田出版 「ココロのしずく」たかはしたかこ著 より